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ヨタばなし★スターメンバー バックナンバー:vol.46,47,48

●2005年10月もまた宇宙の旅  

あやうく忘れそうになりました。
子供の頃の夢、じつは宇宙旅行だけではないなーという話です。

『ブラックホールに落ちるとどうなるか?』
『タイムマシンは作れるか?』
どちらもノーベル賞級のヨタ話、はじまりはじまり〜! 
( )内は読み飛ばしてだいじょうぶだよ。

宇宙をぷかぷか漂ってるとさ(あんた経験者か!とかつっこまないようにお願いします)、どっちが上でどっちが下とか、そういう感覚ってないんだよね。
"地面に立つ"、そういう状況があって初めて、「足の方が下ね」って感じるように僕らはできている。
"地面に立つ"ってなんだろう?
僕らは感じていないけど、地面が僕らをひっぱってくれている状態のこと。感じないのはさ、生まれたときからそうだから慣れちゃってるだけなんだよね。地面が僕らをひっぱっていてくれないと、僕らも空気も海水も、ありんこも象も、ふわふわと宇宙に飛んでっちゃうぞ。あぶない。

じゃ、どうして地面は僕らをひっぱっていてくれるのか?
それは、"そこに地面があるから"、であーる。

上下左右の無い、がらんとした宇宙空間を想像してね。
そこでは、何かモノ(例えば星)があると、必ずひっぱる力(引力)が発生する。重たいものや高密度のものなら大きな力で、軽いものや低密度のものは小さい力で、まわりにある物をひっぱっている。
たとえば宇宙を隕石が漂っていて、その隕石のすぐ近くに、隕石よりはるかに小さくて軽い砂利(これも隕石)が漂ってきたとする。そうすると、地球の重力にひっぱられてリンゴが木から地面に落ちるように、砂利は隕石の表面に落下する。これがひっぱる力です。

ひっぱる力には、引力っていう言葉の他に重力っていう言葉があるんだよね。
何が違うかというと、引力は文字通りひっぱる力で、星の中心に向かって単純にひっぱる力、ふたつの物体同士がひっぱりあう力のこと。磁石のN極とS極が近づこうとする力も引力っていう。
では重力とは何か。地球は自分も回ってるから(自転)、そこには遠心力もはたらいている。ということは、僕は地球にひっぱられてると同時に外に飛び出しそうにもなっている。引力の方が遠心力より大きいから、僕は地面に立っていられるんだよね。引力から遠心力を差っぴいても星の表面にいられるのだ。
それが重力。つまり諸事情合わせた現実的な結果なんだよね。

ついでに、これはまったく余談だけど、地球で、遠心力がいちばん大きいのは赤道付近、半径が大きいから、自転でぶんぶん振り回されている。ということはその辺に旅行に行くと、重力(引力-遠心力)は小さくなっているわけだから、"本当に"身も心も軽くなって、楽しいなーっ!ってことになる。南極とか北極とかに行くと遠心力が小さいから(ピンポイントで、遠心力がまったく無くなるね)重力だけをめいっぱい感じることになり、寒いところが好きな人は別として、身も心もなんだか楽しくないからおうちに帰りたいなー、ってことになります(笑)。(もちろん着ている物の重さの方がはるかに影響大ですが)そして地球自体も、赤道をぐるっと一周測った距離は、南極と北極を通ってぐるっと一周測った距離よりも長い。つまり地球は、遠心力の大きいところが出っぱった、ひしゃげた形になっています。

話を戻してひっぱる力をもうちょっと考えてみよう。
月に行くと、体が軽く感じて、幅跳びも高飛びもものすごい新記録が出そうなことになるんだよね。月では体が軽いのに、地球にいると50kgの人は50kgだなーって感じる。また無重力空間では体の重さをぜんぜん感じない。つまり、重いとか軽いとかっていうのは、その環境でどう感じるかを表す言葉。重力によって変わっちゃう。
"重さ"は"感じ方"でしかないけれど、場所とか環境とかに関係なく、物質には本質的な重さというのがある。これを表す言葉は"質量"。質量が大きいっていうのは、今までの表現で言うと重たいってこと。小さいって言ったら軽いってことです。
ひっぱる力が強い星と弱い星、それはその星の質量によって決まってくる。「月に行ったら体が軽いな」は結果。月は質量が小さいから重力も小さくて、結果として体を軽く感じさせるのである。重力は、質量によって、質量のある物同士に働くんだね。これからは質量っていう言葉を使おうね。

僕らの地球は月よりはるかに質量が大きい。だから重力も大きくて、僕らは一所懸命ジャンプしても50cmかそこらで、あっという間に着地できる。海の水も地球に貼り付いてるし、空気だって地球のまわりから逃げずにいてくれる。僕は地面に立って、地面は下で空は上だって感じるし、食べ過ぎて太ると「最近体が重いなぁ」と反省したりしているのであるよ。
太陽はどうか。燃えやすい気体がぼかんぼかんと爆発しているまるで爆発のカタマリみたいな星。すっごいでかくて、中の方は案外ぎっしりだから質量が大きくて、太陽系の惑星を太陽系内につなぎ止めておくほどに引力も大きい。それでも惑星たちが太陽に向かって落っこちてこないのは、それぞれが周回軌道を回って(公転)、外に飛んで行こうとする力(遠心力)が同時にはたらいているから。太陽に引っぱられる力と外にぶっ飛びそうな力がちょうどいいバランスを保ってるんだよね。
例えば木星も、木目のキレイなガスの星だけど、どでかくって、太陽系の惑星全部を集めた質量の2.5倍もある。木星自身も太陽に引っぱられながら周回軌道を回っているんだけど、こっちはこっちで大きい石ころ(小惑星)くらいは充分にひっぱる力があるから、木星の近くは石がごろごろ。木星がひっぱっていてくれるおかげで、石ころは地球に降ってこないんだ。

さてさて、いつまでも太陽系にいるわけにはいきません。本題はブラックホール。ブラックホールってゆーのはさ、ホール(穴)じゃないんだよね。正確にはブラックスター、光さえ無い、暗くて見えない天体である。最大の特長は、ものすごーく質量が大きいということ。半端じゃないぞ。つまり、ものすごくひっぱる。
どんくらい半端じゃないか。ブラックホールがどうやってできるのか、それを追ってみることで想像くらいはできるかなぁ。

ブラックホールはどんなふうにできるのか?
これは、"燃える星の一生"をたどってみるとわかってくる。
夜空を見上げればわかるように、宇宙には、太陽みたいに"燃えている星"がたくさんある。彼らはどこから生まれたのか?話はそこからである。

宇宙には、周囲の真空よりほんのわずかに物質の密度が高い場所というのがある。暗黒星雲なんて呼んでいる。なんかこわい。
ここでいう物質というのは、こまかーいつぶつぶ。1粒ずつは目にも見えないし、手で触っても何も感じないくらい、ものすごく小さいつぶつぶ。つぶつぶは、それ自体の重力でだんだんと集まってきてはぶつかり合う。近くをでっかいものが通ったり、重力のバランスが崩れるのも、ぶつかり合うきっかけになる。つぶつぶは、近づき合ってぶつかり合ってだんだんお互いの距離が近くなり、重力が増して、もっと近づき合う(ひっぱり合う)。ほんで、隣のつぶつぶとさらにぶつかりやすくなって、じゃんじゃんぶつかるようになるとついに熱くなって光も放出する。これが"燃えている星"の誕生である。"恒星"と呼びます。

恒星の中で、太陽の半分以下の質量の星(赤色矮星)の一生を考えてみよう。
はじめの頃は星の中心部分がモーレツに燃えて(水素の核融合。水素はいちばん単純な構造の物質で、くっつきあって水素より複雑な構造のヘリウムっていう物質になる)光っている状態。温度も高くて青く輝いている。そのうちに中心部分の燃料を使い果たして徐々に外側の燃料を燃やすようになる。そうすると内側は燃え尽きちゃっているので温度が下がり自分自身の重力でどんどん縮もうとするけど、今度はぎゅっと縮むことによってまたまた温度が上がってくるので、外側が燃えるのを内側から加速することになる。外側はあっためられるせいでどんどん膨張していって、決まった熱量なのに大きくなるから今度は温度が下がり始める。この状態が巨大な赤い星(赤色巨星、温度が低くて赤く見える)。その後はまわりのガスが散らばって星雲になり、中心だけがしぼんで灰が残る(白色矮星)。これが一生。

太陽くらいの質量の質量の恒星になると、赤色巨星になった後で、もう一度燃えるんだね。最初に使った燃料(水素)の生成物(ヘリウム)を二次燃料にしてまたモーレツに燃える(また核融合ね。またくっつきあって、もうちょっと複雑な物に変わる)。中心部分の二次燃料を使い果たすと、中心部分の温度が下がってぎゅっと縮み、同じ経緯をたどって外側が燃えて膨張する。そんで、同じく外側のガス成分は散らばっちゃって星雲になり、中心だけがしぼんで灰が残る(白色矮星)。

太陽の何倍も大きい質量のやつだと、まだまだこの続きがある。
重力が大きいから灰がすごく収縮して、また温度が上がる、温度が上がるとまたモーレツに燃える、燃えると別の成分になる、っていうのをまだまだ繰り返す。ついに反応停止するともう熱は出ないので、熱によって膨張しようとする力がなくなり、自分自身の重力でこれでもかっちゅーくらいにぎゅぎゅーっと収縮する。
ここですごくオカシナことが起きるね。
そもそも燃えている星は、熱で膨張しようとする力を自分自身の重力(縮もうとする力)が押さえ込んで、バランスがとれた状態になっている。ところが中の方の温度が下がるとバランスが崩れて、重力(縮もうとする力)が勝っちゃう。ということは、自分の大きさや形を自分で保てない。自分自身の重力に押し潰されて、すごい大きな質量の、たっくさんある星の成分が、ぎゅーっと、もっとぎゅーっと、とんでもない速さで極限まで縮んじゃうぞ!なんとこのときの縮む速さ、秒速20万kmぐらい(光の速さは秒速30万km)になるらしい!
この、自分自身の重力に押し潰される現象を重力崩壊って言います。
ほんで、限界になると、それ以上縮みたくても縮めないから、秒速20万kmで中心にぶっ飛んできた成分を素直に吸い込めなくなって、ぶつかって跳ね返すようになる。秒速20万kmだもん、壮絶な大衝突!この衝突がついに巨大な核反応を引き起こして、銀河系まるまる1コ分ぐらいの膨大なエネルギーを、どっかーーーん!と放出する。そうそう、これが超新星爆発っていうやつね。

爆発後はどうなるか?
外側がふっ飛ぶのはいいとして、内側は、爆発の反動でまたまた縮んでいき(爆縮)、自分の重力で加速して、どんどんどんどん、超新星爆発直前の縮み方よりさらにものすごい縮み方で縮んでいく。いったいいつ終わるんだ(笑)!星って生き物みたいだなぁ。

元が太陽の数倍くらいの星の場合は、直径20kmくらいの小さいカタマリになる。
ところが、小さいからってバカにしちゃいけませんよ。なんと、1立方cmの質量は10億トン。何を言ってるのかわかりませんね。えっと、この星のカケラをね、小さいサイコロくらいのサイズつまみあげてみると、富士山1コ分の重さです。なんじゃそりゃ、もう笑うしかない。これはどえらい重力です!ものすごいひっぱられる!仮にこいつにひっぱられると、逃げ出すためには光の速さ(秒速30万km)の1/3(秒速10万km)以上の速さでバンバン上に向かってぶっ飛んで行かなければならない。
これぞブラックホール!と思いきや、これは中性子星(直径20kmの超巨大な原子核)といって、まだまだ出来損ない(笑)です。

元が太陽の数十倍、そんくらいどでかいやつだと、爆縮したカタマリの質量が上述の出来損ないの数倍あって、重力崩壊はとどまるところを知らず、方程式も法則も破綻した、究極のぎっしり天体になっちゃう。さらにオカシナ世界!1立方cmの質量は200億トン。サイコロ1コが富士山20コ分ですか?本当に何を言ってるのかわかりません(笑)。地球なんて1立方cmで数グラム、なんだかまるでお話になんない。
ここではさらにどえらい重力が効きまくっていて、ある距離より近づくと、脱出速度が光の速さを上回り、物質はおろか光でさえも抜け出せなくなる。光が出てこないということは、見ようにも見えない、ブラックスターなんである。
ついに出た、ブラックホール!
脱出速度が光速を上回る"ある距離"のことをシュヴァルツシルト半径と言います。ほんで、ブラックホールを中心としたシュヴァルツシルト半径のぐるっとした球面のことをシュヴァルツシルト面、またの名を"事象の地平面"といいます。

ほんでは、ついに、事象の地平面(ブラックホールの入口)を越えてみよう!(何言ってんだ)
とりあえず、(生きているか死んでいるかは別として)もう帰って来られませんから。あしからず。

僕が宇宙をぷかぷか漂って行って、頭から事象の地平面とやらに近づいて行ってしまったとする。すると、「うわぁーーーっ」なんつってブラックホールに落っこって行く。足から落っこちてれば、わずかばかりの抵抗を、平泳ぎみたいなことで一応表現してみたいが、頭からなのでなす術も無い。
ものすごい加速なので、あれよあれよという間に落っこって行く。しかし落っこっている最中僕がどんな醜態をさらしているかと言うと、ちょっと恥ずかしいことになっている。もちろん全身ひっぱられているんだけど、頭にかかる力と足にかかる力ではとんでもない差がある。頭に数百トンの重りをくくりつけてぶら下げられている感じである。しかもみっともないことに、頭がちぎれるわけではなくて、びろーんと伸びることになっている。まいった。
この頭にかかる力と足にかかる力の違いを潮汐力といってね、地球の表面の海が月のある方にひっぱられて満ち潮になるのと同じ原理であるが、そんなことはどうでもいいくらいにとにかく醜態をさらしている。

では、どのくらいの醜態か?(←論点がおかしい)
つまり、遠くから見守るスタメンのみなさんには、僕がどう見えるか、ということですね。

僕は「うわぁーーーっ」という驚愕の表情のままでびろーんと頭を伸ばしながら、事象の地平面に近づくにつれ、なんと速度を落とし、同じ表情でさらにび
ろーんと頭を伸ばしながら、恥ずかしいことに事象の地平面で静止。いつまでも動きません。まいった。

ところがである。
案ずるなかれ、僕! びろーんと落ちてゆく僕の醜態を、のほほんと平和のうちに眺めているスタメンのあなたは目撃しない!(安堵)

なぜか?

★★

突然のようですがこれから僕は、突拍子もない屁理屈をこねます。何を書こうとしているかお見通しの勉強好きのあなたなら読む必要はありません。読んでくださる方は、想像力を発揮してね。

ここに、電車がある。先頭から最後尾までの長さは60万kmもある、なっがーい電車ね(笑)。この電車が秒速10万kmで進んでいます。この電車の中央に乗っているお客さんが、先頭と最後尾、両方に向かって同時に光を発射して、運転手さん(先頭にいます)と車掌さん(最後尾にいます)がそれぞれ光を受け取るまでの時間を測ってみたいと思います。

まずは電車の中のことを考えよう。
電車の中央のお客さんから、先頭と最後尾、両方に向かって同時に光を発射する。光の速度は秒速30万kmだから、30万km離れたところにいる運転手さんも車掌さんも、1秒後に光を受け取るとこになる。そのとき全員の時計は1秒をさしています。

次に、電車に乗っていない人が外からこれを眺めるとどう見えるかを考えるね。
電車の中央のお客さんから、先頭と最後尾、両方に向かって同時に光を発射するんだけど、電車はすでに秒速10万kmで走っているから、電車の中央から先頭に向かっていく光の速さは30+10で秒速40万km、電車の中央から最後尾に向かっていく光の速さは30-10で秒速20万kmになっている。(時速900kmの飛行機の中を前方のトイレ目指して時速4kmで歩いている人は時速904kmで進んでいるってゆーのと同じことね)
1秒後、電車の位置は10万km進んでいるので、先頭に向かっていく光が進まなきゃいけない距離は40万kmに伸びているけれど、光の方も速くなっていて秒速40万kmだから、光が届くのはやっぱり1秒後。最後尾に向かっていく光が進まなきゃいけない距離は、車掌さんが10万km近づいて来たおかげで20万kmに縮んでいるけれど、秒速20万kmの遅い光なので届くのはまたまた1秒後ということになる。やはり全員の時計は1秒をさしています。

ここまで想像していただいたところで、さらに常識破りの屁理屈をこねます。
光の速度は誰がどう眺めても秒速30万km。秒速40万kmとか、秒速20万kmにはなりません。立ち止まって眺めても秒速30万km、この電車の隣を併走しながら眺めても秒速30万km、この電車と同じ早さで逆走しながら眺めても秒速30万km、とにかく秒速30万km。これはあり得ないことなのに、実際に観測されているのでどうにもならん。光だけは特別な絶対の存在なんです。
実際に観測なんてできっこないとお思いでしょうが、やっちゃいました。このものすごい特急電車の代わりに使った乗り物は"地球"です。地球の赤道付近の自転速度は秒速465m、公転速度は秒速29,800m、けっこう速いのだ。地球に乗って光を観察したら、どっち方向に行く光もきっちり同じ速さだった、というわけです。
ということは、さっき書いたことは間違いじゃんか!仕方がないから修正しようね。

電車に乗っていない人が外からこれを眺めるとどう見えるか。
電車の中央お客さんから、先頭と最後尾、両方に向かって同時に光を発射する。
電車の速度は秒速10万km。光の速度は秒速30万kmで変化しません。
先頭に向かっていく光が進まなきゃいけない距離は40万kmに伸びている。だから運転手さんに光が届くのは1秒ちょっと後になる。最後尾に向かっていく光が進まなきゃいけない距離は20万kmに縮んでいるから、車掌さんに光が届くのには1秒かからない。時計は3人3様になっちゃった。

おかしなことになりました。運転手さんと車掌さんは1秒だと思っているけど、はたから見ているとどうもずれている。

ただし、電車の中の人と、電車の外でこれを見ている人は、一切話をしないことにしてね。「あんたら、時計がおかしいよ」などとは言いに行かない。つまり、電車の中の3人は、自分らフツーにやってるよ、と思っています。時計がずれているなんて、気づきません。

ではもっと極端なことを考えてみるね。
同じ電車を使います。この電車、今度は秒速30万km(ちょうど光速)で進んでいます。この電車の中央から、先頭と最後尾、両方に向かって同時に光を発射して、運転手さんと車掌さんがそれぞれ光を受け取るまでの時間を考えてみる。
運転手さんは秒速30万kmで追いかけてくる光から秒速30万kmで逃げています。
これじゃいつまでも光が追いつかないよね。運転手さんはいつまでもワクワクしながら腕時計を眺め続け1秒になるのを待っています。時間が経つのが遅いどころか、"永遠に"1秒経つのを待っている。つまり、時間が止まった状態。運転手さんにとって、時間の経過はありません。
車掌さんの方はといえば、あっという間に光を受け取ってしまうので、時間がさらに速く流れていることになる。

すごくオカシナことだけど、なんとなくわかってきました。時間の経ち方って、絶対的なことじゃなくて、速くなったり遅くなったり、変化するんだね。

これは"時計がずれる"ということの説明です。説明のために車掌さんに出てきてもらいましたが、ここから先は、運転手さんの時計のように時間が遅くなったり止まったりする現象、その続きを考えます。

光の速さに近い速さでかっ飛ぶと、そこでは時間の流れが遅くなる。ちょうど光の速さでかっ飛ぶと、そこでは時間が止まる。とんでもない屁理屈に発展していますが(笑)、大暴走ついでに別の例も考えてみます。

今度は宇宙船に乗ろう。
光の速さで飛べる宇宙船が地球から離れながら、地球に向かって光を放ったらどうなるか。

宇宙船が放った光はいつまで待っても地球に届かない。だって光が向かってくる速度と宇宙船が遠ざかる速度がお互いに打ち消し合っちゃうもん。光はずっと止まって見えてて、宇宙船はあっという間に飛んでっちゃう。
そう答えたあなたは間違っています。
常識破りの屁理屈にしっかりついて来ーい!

光は、誰がどう眺めても秒速30万kmで進みます。だからちゃんと地球に届くのだ。
ちょうど光の速さでかっ飛ぶと、そこでは時間が止まる。
だから、ずっと止まって見えるのは宇宙船の方です。宇宙船の時計は止まったままで、そこでは時間が経過していない。
つまり宇宙船は動きません。
地球から見上げるとそこに宇宙船が静止しているように見えるんだね。
宇宙船のクルーのみなさんは、「自分たちは光速でぶっ飛んでいるなぁ」と、"その場所を動かず永遠に"感じている。

秒速30万kmという速さは、いちばん速い"特別な速さ"。これ以上の速さというものはあり得ないということになります。
このスピードでかっ飛べる(移動できる)のは、唯一、光のみ。光の速さだけは絶対に変わらない。
光以外のものだと、秒速30万kmに近づくと遅くなってしまい、ついに秒速30万kmに達すると止まってしまいます。速くなっているのに遅くなっている?不思議な速度の話をしているように見えるけど、これは時間の話。遅くなったり止まったりするのは時間の方なのだ。

本当に途方もない屁理屈だけど、僕を責めないで。僕のアイデアじゃないからさ。
誰の屁理屈かというと、アルベルト・アインシュタインというおっさんの屁理屈です。

『特殊相対性理論』

そう呼ばれている天才のヨタ話。
「光の速さだけは決まっていて、光以外のものが光速に近づくと、時間がオカシナことになりますよ。ただし、光以外のものが光速に近づくほど加速するなんてあり得ないので、ま、キワモノ理論ということで」と言っている。

ここで話はブラックホールに落ちていく僕の醜態に戻るね。
さて、僕は「うわぁぁぁーーーっ」なんて叫んで頭がでっかくなりながら、事象の地平面にものすごい勢いで近づきつつある。あー、ついに事象の地平面まで行っちゃいましたよ。頭から光速で落っこちてます。頭が相当に伸びている。うわぁぁぁーーーっ!

僕は自分で一所懸命に加速しているわけではないが、ブラックホールにものすごくひっぱられている。僕の落下速度はどんどん速くなり、僕の時計はどんどん遅くなる。ついに速度は限界に達し、時計は止まったままになっちゃった。外から見れば、僕の周りでは時間が経過していないから、フリーズした状態に見える。これはね、なんだかまるでわからない計算によれば、光以外のものが光速になると質量が無限大になるので重くて動けない、という説明になるんだけど、なんだかまるでわからなくていいです。計算ごときでつまずいても全然おもしろくないので、すっとばして先に行きます。とにかく、僕はものすごい勢いで落っこちつつも、外から見ると、ぜんぜん落っこちてない。静止したままの宇宙船と同じです。光速の宇宙船と同じようなことが、ブラックホールで
も起きる。
ついでに、びろーんと伸びたはずのみっともない頭はどう見えているか。足よりも頭の方が強くひっぱられているから、頭の方が速度が速い。ということは足よりも頭の方が時間が遅くなっている。外から眺めると、頭の方が足よりゆっくり落ちていってるように見えるので、あなたには縮んで見える。つまり、僕の頭がいくら伸びても、縮んで見える。そしてついに、もっと縮んで、事象の地平面上に(ブラックホールから"ある距離"離れた空間に)頭からべったりと平たく貼り付いたように見えてしまう。
光でさえも逃げ出せないほどに重力が強大なところでは、やはり時間の遅れが生ずる。

スタメンのあなたが目撃する一部始終は次のとおりです。
あの人「うわぁぁぁーーーっ」って顔して、いったいどうしたのかしら?
あら、だんだんゆっくりになって来たわ。あー、ついに止まっちゃったぁ、やっだぁ、あの人、ぺっちゃんこー!でもまだ「うわぁぁぁーーーっ」って顔よ、バッカみたい、クスクス。
そんなもんなのである。これはこれでみっともないが、頭が伸びているよりずいぶんマシなんである。

『ブラックホールに落ちていく僕の醜態 〜バッカみたい、クスクス〜』のまたの名は、『一般相対性理論』
これもまた、天才アルベルト・アインシュタインのヨタ話である。
『特殊相対性理論』は重力を無視した"特殊"な状況での"感じ方(相対性)"を説明する話で、『一般相対性理論』は重力についても考えた"現実(一般的)"での"感じ方(相対性)"を説明する話です。
実際に宇宙に存在するブラックホールまで出かけてったら起きること。遠いから行かれないだけで、がんばって行きさえすれば、実際に体験することです。

いつの間にかすごい話になりましたよ。ノーベル賞級です。
天才ヨタ話の想像の輪をもう少しだけ広げてみたい。

★★★

さきほどの猛スピードの宇宙船にもう一度乗りましょう。
今度は光速よりもほんの少しだけゆっくり飛ぶことにします。
この速度の宇宙船だと、時間の流れは止まりはしないけど、ずいぶんと遅くなっている。地球から見ると、ゆっくり離れていくように見えます。クルーはどうかというと、宇宙船内では時間がゆったりと流れているだけなので、変化は何も感じていない。まさか自分たちがゆっくりしゃべってゆっくり船内を歩いているとは思ってもみない。彼らには、そこいらをぐるっと回って、地球に戻って来てもらいます。クルーにとっては1週間の宇宙旅行。ところが、地球では10年も経っています。ついに出たー!タイムトラベル!
速度を上げ下げしたり向きを変えたりした宇宙船が、タイムマシンです。
ほらね、できそうな気がしてきたよー、時間旅行!

ただし、この宇宙船がちょうど光速だとすると、タイムトラベルがうまく行きません。
宇宙船のクルーは、窓から青い地球を眺め、「自分たちは光速でぶっ飛んでいるなぁ、ということは、自分たちから見れば、光速で離れていくのは地球の方だなぁ、だから地球は静止したまま動かないように見えるなぁ」といつまでも感じながら静止しています。10年間くらいそこで静止しててもらって、10年経ったら徐々に速度を下げて、向きを変えて地球に帰ってきてもらえばいいんだけど、10年後に減速するタイマーが宇宙船内では作動しないじゃないか(笑)。

次は過去に行きましょう。
今度は光速より速く飛ばないといけないので大変だけど、"飛べる"と仮定すると次のようになりますね。
光の速さに近づくにつれ時間の流れが遅くなる。時計の回転が遅くなってきました。もっと加速だ!時計は止まりそうです。ついに光速、時間がぴたりと止まったぞ。時計の針もぴたりと止まりました。おっ、光速を超えたぞ!時計の針はゆっくりと逆回転をはじめました。もっと突っ走れ!時計の針はどんどん逆回転!
さきほどの電車でいえば、運転手さんの時計は、電車の中央から光が発射される以前の時間へ、さらにもっと前の時点へ、逆回りですよ!

う〜ん、行けそうだ。過去に行けるかどうかは、光速を超えられるかどうかにかかってるなー。
ただしこれにはたくさんの逆説があるので困る。逆回転するのは運転手さんの時計、ということは運転手さんがたとえば5歳まで若返り、5歳以降の記憶も無くなっちゃったとすると、彼にとってはこれまた未来旅行です。とすると残された可能性は車掌さん(懐かしい)ですが、彼の時計は進んでいるので、ずいぶん年をとってからやっとの思いで過去に帰ってくるという、時間のかかる旅路です(笑)。しかも、よくよく考えると彼は、光が進む方向と逆の方向に進むという、どっちに進めばいいのかわからない至難の業をやってのけてますね。
困りました。

あと1歩で理論上のタイムマシンが作れそうだぞ。
難ありなのは過去旅行の方だね、超光速タイムマシンをつくらなきゃいけないから。そこで考える。もっと簡単に過去に行く方法はないか?

ここで思いつくのは、ブラックホールが使えるかもしれないということです。
強力な重力場では、時間が変化するんだもんね。
光さえも吸い込まれて逃げ出せない。ということは、光よりも無限に速く逃げないと逃げられない。つまり、光よりも無限に速く物が落っこちるほどの力で、ひっぱってくれる。使えそうだ。
"光よりも速い速度"、それはブラックホールの事象の地平面内ならばあり得るかもしれんですよ。ブラックホールの事象の地平面を越えられたとする。さらにさらに加速しながら、光の速さをはるかに超えて、どんどんブラックホールに落ちていったとする。事象の地平面ちょうどでは時間が止まっているけれど、それより内側に入れれば、光の速度よりも速い速度というのがあって、時間が逆戻り。いいね、絶好調。これはどんどん想像が広がります。そこに行けば、僕はどんどん若返るし、ブラックホール自身も若返っている。
銀河系の中心にはブラックホールがあると考えられているんだよね(これは事実)、しかもとてつもなく巨大なやつ。そこに行って落っこちたら、あるときふと気づくと、初期の銀河(過去)にいる自分を発見するのかもしれないぞ。
そんでもう一度、この歴史を追体験する。いつそこに行っても初期の銀河に戻れるはずだから、今の銀河と昔の銀河は、この空間に同時に存在することになるんだよね。なるほど、パラレルワールドってあるのかもしれないなぁ。

この想像は"あり"である。"あり"ではあるが、問題もありました。ブラックホールは"穴"じゃなかった!ということは、出られません。激突です。
そこでまた考える。もっと簡単に過去に行く方法はないか?

!!!
ありました!
「光速に近づいて未来に行く」の逆は「光速を超えて過去に行く」だけではありません。「自分の"周り"を光速で動かして過去に行く」です。
ここまでくると常識破りの屁理屈どころではない、大どんでんがえしです(笑)。
が、笑ってないで考えます。

ブラックホールのアイデアを応用してみます。ブラックホールに、物(僕でもいいですけど)が落ちるのをもっとよく観察して手がかりをつかもう。
物(僕)は、ブラックホールに向かってまっすぐに落ちていくわけではない。
ある軌道を描いて落ちていきます。巨大な漏斗をすべり台にするように、曲線を描いて落ちていきます。直線ではなく弧を描いて、遠回りしているようだけど、じつはこれが最短距離。まっすぐ落ちるよりも短い距離です。単に重力にひっぱられているならば直線で落ちて行くはずだけれど、そうではない。これは、空間が歪んでいるせいなんだ。重い物も軽い物も同じ軌道で同じように落ちる。空間の歪みに沿って、ひん曲がった時空における最短距離で落ちていく。
またしても常識破りです(笑)。
どうしてこんなことがわかるかというと、光が、強力な重力場近くでぐんにゃり曲がるのが観測できたから。光が波なのか粒子なのかってゆー話はまた別にするとして、光には重さがありません。(粒子だとしても、物質ではない粒子なので、やっぱり重さはないんだな。ってまた別の屁理屈なんだけど)重さが無いものは、重力の影響を受けません。ところが、光がぐんにゃり曲がった。
ということは、その場所自体が歪んでいることになる。重力でひっぱられたのではなく、空間の歪みに沿って進んだだけということになる。

すごいことになりました。ブラックホール付近では、時間も空間も、両方とも歪んじゃう。
これこそが『一般相対性理論』の核心ですよ。
空間の歪みは、距離の喪失をもたらします。空間移動(瞬間移動)が可能になる発想だよね。

漏斗のような形の歪んだ空間、これならブラックスターにホール(穴)ってゆー名前がつくのも無理ないなぁ。穴みたいだもん。
この"穴"を応用しましょう。穴ならば通過できるから。この時空の歪み(強大な重力場)を利用して、ブラックホールを2コつなげたような通り道を作ろう。
そして、出口を、光速であっちゃこっちゃに動かす。すると出口の側では時間が止まっているから、あるとき入り口から入って出口から出ると、過去のある時点にさかのぼっている。この発想がワームホールっていうやつです。ワームっていうのは虫のことね、ワームホールは虫食い穴。
時空の地平面内なら光速より速い速度がありうるっていう前提なので、タイムマシン(宇宙船とか、特別な機械)を作る必要はありません。
ワームホールが人工だとすると、作った時間より以前にはさかのぼれないっていう不便さがあるけれど、もしも現存しているなら、かなり自由な時間旅行になるよね。

うーん、僕たちは、常識破りの屁理屈の上に立ってなお、速度という常識から逃れられずに苦労しています。時間(や空間)という主観を、"速度"に置き換えることでしか理解できない。本当は"速度"という発想を捨てて、"速度"以外の方法で移動できるようにならないとだめなんだなー。"速度"という発想を捨てるということは、"時間"を"速度"に置き換えずに、時空の歪みを使うということなんである。速度をコントロールするのではない。時空を直接コントロールする。速度ではないまったく別の方法で、違う時間の同じ場所や、同じ時間の違う場所にダイレクトに移動しなければならない。これぞ時間旅行と空間旅行。やってみたいのは速度競争じゃないんだもん。

最後に、時間旅行ができるという証拠をお見せしたい。
1971年、ちょうど僕が生まれたころ、飛行機に時計を乗せて世界一周、その時計を地上に置いておいた時計と比較した人がいる。そしたらね、飛行機に乗せた時計は、本当に遅れてた。あらかじめ計算したとおり、予想した分だけ遅くなってた。移動が時間を遅らせるということが観測で実証されました。ほんの小さな時間旅行(タイムワープ)が、実際に起きたのだ。

僕は宇宙のことが大好き。考え始めると止まらなくなる(やっぱ事象の地平面で止まりたくないぞ)。破天荒な天才の屁理屈が、夢の扉を開くんだ。『相対性理論』なんちゃって難しそうだけど、ここに書いたことはスタメンのみなさんなんとなく理解できたはずです。

なんとなくでいいんだ。
なぜ"なんとなく"でいいかというと、常識を捨てるのは難しいから。

天才アルベルト・アインシュタインですら、数字という特殊な言語でしか説明できなかった、究極の理論。究極とは、地球の重力場から逃れられない(常識をなかなか捨てられない)人類の限界、という意味である。天才とは、常識を超えられる人のこと。アルベルト・アインシュタインは、常識を覆した非常識な大天才なんであーる。

ならばどうせ理解できないんだって、あきらめるのが賢明なんでしょーか。

いえいえ、この世界を説明できるかもしれない、という夢は捨ててはいけない。
常識を捨てるのは難しいけれど、不可能なわけでもないのだよ。思えば僕ら人類はこれまで、何度も何度も常識を捨ててきたではないか。

天才が使った言語(数字)がいい例である。
数字は、1と2と3があれば足りるはずなのに、人は0という数を発見した。リンゴが1個2個3個まではけっこうだが、そこにありもしないリンゴを、リンゴが0個あるなどと言う。常識が覆った瞬間である。
そうして数字は、物を数えるための道具から、ものごとを説明するための言語に変わり、-1、-2、-3だなんてナンセンス極まりない"負の数"をも生み出した。
これも、常識が覆った瞬間である。
1920年アラン・アレクサンダー・ミルン(Alan Alexander Milne)によって誕生した『クマのプーさん(Winnie The Pooh)』にもある。
「ぼくは何もしないをしてるんだよ」
("What I like doing best is Nothing." "How do you do Nothing?" )!!!
思わずプーのチャックを下ろしてやろうかと思うほどに、常識がひっくりかえった瞬間である。

常識を捨てるのは難しいけれど、僕たちは常識を捨てることに慣れっこにもなってるんだよね。
だから、いつかこの世界を説明できるという夢は、捨てないほうがおもしろい。

誰もがその目で見ている自然の姿を、理屈で説明するのは科学者のシゴト、感性で説明するのは神様と詩人のシゴト。この世界はおもしろいから、科学者も神様も詩人も僕も、それぞれ違う方法で、説明してみたくてしかたがない。

時間と宇宙のはじまりは本当にビッグバンなのか?ビッグクランチ(ビッグバンの逆)とは何か?宇宙に中心と端はあるのか?
そして、"宇宙ひも"によるタイムマシンの作り方や、ブラックホールなんてあるはずない(今日書いたことはどうなるんだ)ということや、無から有が生まれることについても、またいつか続きを書いてみたい。
イマジネーションは果てしなく広がるのであーる。

いちばん簡単でいちばんイメージしやすい特殊相対性理論と一般相対性理論、そして宇宙の星の姿。
他のみんなは計算で説明しようとしているけれど、僕のヨタ話に計算は要りません。
必要なのは、60を半々にすると30と30だということ、30に10を足すと40で、30から10を引くと20だということ、そんくらい(笑)。

ノベール賞級のヨタ話、最後までつきあってくれたスタメンのキミ!
キミはもうノベール賞級のスタメンだ!(嬉しくない)

注意!
 実際に事象の地平面に近づいたものは破壊されてしまいます(死んでしまいます)。
 大変危険ですのでブラックホールには近づかないでください。


おしまい

2005.10.01

日刊ヨタばなし★スターメンバー




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