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ヨタばなし★スターメンバー バックナンバー:vol.43

●桜の季節に何想う

今年もまた桜の季節がやって来ました。
桜と言えばお花見。
酒呑みにとってはいてもたってもいられない季節の到来です。
酔っぱらっちゃう前に、桜の木の下でお花見をするようになったのはなぜなのかを考えてみよう。
あ、その前にまずは「桜」の名前の由来についても知らなきゃね。

桜に限らず、たいていの場合、由来には諸説あるのがつきものなわけで、桜の名前の由来についても同様なんである。

一説には「咲く」に複数を意味する「ら」を加えたものとされ、元来は花の密生する植物全体を指したと言われているというもの。

もう一つが、春に里にやってくる稲(さ)の神様を憑依させる座(クラ)だからサクラってなったという説。農耕民族である日本人は、桜の開花によって稲を植える時期を知り、桜の散り具合を見てその年の豊作を占っていたんだとか。桜の木は稲(さ)神様の宿る神聖なものであり、そこにお酒などの奉げものをするのも当然だったわけだ。みんなが集まって酒を持ち寄りゃあ誰とも無く「ちょっくら一杯やんべぇ」ってなったんじゃないだろうか。

この稲(さ)の神様、【木花開耶姫】(このはなのさくやひめ)と言うかわいらしいお名前。
そもそも「このはな」ってのが桜の花を指し、「さくや」が転じて「さくら(桜)」になったんだという説もあるようです。開耶姫は【天孫邇邇芸命】(あめのまごににぎのみこと)と結ばれます。天孫邇邇芸命ってのは稲穂がにぎにぎしく出てくるという意味だそうで、まさに稲と桜のコラボレーション!しかも二人の間には、火照
の命(ほでりのみこと)、火須勢理の命(ほすせりのみこと)、火遠理の命(ほおりのみこと)という三人の神様が生まれるんだとか。
これまたすごいことに、火照の命(ほでりのみこと)とは稲穂が赤らむという意味、火須勢理の命(ほすせりのみこと)とは稲穂がぐんぐんせり出すという意味、火遠理の命(ほおりのみこと)は稲穂がたわわに折れ曲がるといった意味だそうで、まさに稲作一家。
桜と稲は切っても切れない深い関係にあるようです。
彼女は古事記に出てくるくらい古い神様だってことを考えると、日本人はだいぶ昔から桜の木の下で酒盛りをしていたと想像してもおかしくないだろう。


ところで、みんなは桜を見て何を思うだろうか。

淡い紅色が可愛らしいとか、散り際の潔さが良いとか?
僕は子供の頃から桜を気味悪く思うことがたびたびあった。
決して嫌いではないのだけど、手放しで喜べないと言うか、満開の桜の木をじっと見ているとなんだか落ち着かないと言えば分かってもらえるだろうか。
で、なんでそう思うのかってことが昔から不思議だった。
毎年この季節になると感じることなんだから、きちんと納得するまで考えたり調べたりしてみれよかったのかもしれないけど、遊び回るのに忙しいしね。しかも桜ってあっという間に散っちゃうから桜に対する気味悪さがピークに達する前に落ち着いちゃう。

理由のひとつ(いくつ理由があるんだ?)、満開の桜ってバランスが悪いように感じてるのかもしれない。
「植物って何色?」って聞かれたら「みどり色」とか「茶色」って答えるでしょ?
けど、満開の桜の木ってどうよ。一面うす〜いピンクなんだよね。
青空の中に桜の場所だけドドドッとピンクが集まってる。
少し離れたら新芽の緑もみえないから、植物って感じがしないのだ。
それに花が多すぎ。なぜあんなにも密集して花を付けてるんだ?
なんだかすごい生命力をこれでもかと見せつけられている気分がしてならない。

断っておくけど、いつも感じてるわけじゃないんです。
家族揃ってお花見にも行くし、行けばイカの姿焼きとか綿アメかかえて結構満足して帰ってくる。ただ、いったん気味悪いって思ってしまうと、花見で盛り上がっている人を冷めた目で見てる自分がいることに気づいちゃうんだな。

昔からそう感じてたからか、桜にはなにか神秘的な力とか、みんなが知らない恐ろしい事実が隠されてるんじゃないかとか、変な空想したりしてた。ひょっとしたら、みんなの中にも僕と同じように感じてる人がいるかもしれない。結構マジメに「桜の木の下には何か恐ろしい秘密があるらしい」って考えたりね。僕のアンテナがそっち方面に向いてれば、情報はおのずとやってく〜る。
今日はその答えを教えちゃうよ。


櫻の樹の下には屍体が埋まっている!
これは信じていいことなんだよ。何故って、櫻の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。しかしいま、やっとわかるときが来た。櫻の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。

★☆★

「あ、その話聞いたことある!」って思った人いないかい?
でもこれ、じつは梶井基次郎が書いた『櫻の樹の下には』という小説の中のお話なのだ。
おもしろいことに、僕はこの小説をついこの間まで知らなかった。
知らなかったけど、僕が想像していた桜の木の下の空恐ろしい秘密というのはまさにこれ。
確かに桜の咲き方は他の花と違って奇妙だ。ある日突然満開になったかと思うと、あっという間に散ってしまう。咲いているときの絢爛豪華なさまも他の花には真似できない。
ほら、今キミも「そう言われてみれば...」と思わなかった?
思ってしまうのも不思議じゃない。
冒頭の「櫻の樹の下には屍体が埋まっている」という興味深いフレーズ、きっとどこかで出会っているのだ。僕も、僕と同じ気持ちになったキミも、どこかでこの美しいフレーズに出会い、魅了されたんじゃないだろうか。

最近は本を読む人が極端に少なくなったのだとか。
そう考えると桜の木の下には死体が埋まっているという話は、もはや都市伝説のひとつなのかもしれない。

2005.04.01

日刊ヨタばなし★スターメンバー




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